OBSERVATION BEFORE CUTTING
切る前に、
見る。
髪型を見る前に、
髪そのものを見る。
同じボブ、同じショートでも、 毛量や太さ、くせ、生え方、 頭の形が違えば同じ切り方にはなりません。
どこが膨らみ、 どこがつぶれ、 どこに長さや重さを残すべきか。 まず、その髪の特徴を見ます。
毛量
多いか、少ないかだけではなく、 どこに密度が集まっているかを見る。
髪の太さ
太毛、普通毛、細毛。 同じ量でも、髪一本の存在感で形は変わる。
くせ
消すのか、残すのか、活かすのか。 うねりの方向と強さを見て決める。
生え癖
襟足が浮く。 前髪が割れる。 毛流れそのものも形を左右する。
骨格
後頭部、ハチ、頭頂部。 頭を平面ではなく立体として見る。
ハチ張り
横へ出やすい場所を確認し、 重さを残す場所と取る場所を分ける。
襟足と前髪
短くすれば収まるとは限らない。 生え方に合わせて長さと切り口を考える。
直毛の平面化
くせがないから簡単とは限らない。 動きが出にくい髪には、立体感をつくる設計が必要になる。
OBSERVE / DECIDE / CUT
見る場所が違えば、
切る場所も変わる。
毛量を減らすことが目的ではありません。 重さを残す場所、動きをつくる場所、 収める場所を見極めてから、 そのための切り方を選びます。
PURPOSE BEFORE TECHNIQUE
方法は一つでは
ありません。
技法から決めるのではなく、
髪を見てから考える。
2000年にスタイリストとしてデビューしてから、 同じように見える髪型でも、 髪質や毛量、骨格、生え癖によって 思ったように収まらないことを何度も経験してきました。
そのたびに切り方を見直し、 試しながら少しずつ選択肢を増やしてきました。 今も最初に技法を決めるのではなく、 目の前の髪に必要な方法を選ぶようにしています。
CUTTING TOOLBOX
技法は、
目的ではなく選択肢。
隠しレイヤー、立体裁断、 コンベックスやコンケーブ。 名前だけを見ると難しく感じますが、 すべて「どこを残し、どこを動かし、どこを収めるか」を考えるための方法です。
隠しレイヤー
外形を崩さず、 内側だけを調整したいとき。
表面の長さを残したまま、 内部に必要な段差をつくります。 多毛や広がりへの対応など、 表面を軽く見せすぎたくない場面で使います。
立体裁断
頭を平面ではなく、 立体として考えたいとき。
正面だけでなく、 横や後ろから見たときの形も考えながら、 部位ごとに長さや厚みを調整します。
コンベックス
毛束に突出感や、 浮遊感をつくりたいとき。
毛束の中央側に長さを残しながら、 切り口そのものに方向をつくります。 直毛に動きを出したい場合にも使う方法です。
コンケーブ
毛束の収まりや、 重さの位置を変えたいとき。
中央を短く、 両側に長さを残す切り口を使い、 毛束の収まりや動き方を調整します。
セクション設計
頭全体を、 同じ切り方にしたくないとき。
ハチ上とハチ下、 ネープとそれ以外など、 髪の条件に合わせてエリアを分けます。 必要であれば上下を別々の設計として考えます。
内部の毛量調整
ただ軽くするのではなく、 必要な重さを残したいとき。
毛量が多いからといって、 全体を同じように梳くわけではありません。 膨らみやすい場所、動かしたい場所を見ながら、 残す部分と取る部分を決めます。
正解を一つに
決めない。
長く仕事をしていても、 初めて出会うような髪質や生え癖はあります。
経験が増えるほど、 「この方法なら必ず大丈夫」と考えるのではなく、 その人の髪を見て判断することの大切さを感じています。
NEXT / DESIGN CASES
次は、
完成した形で。
同じ方法を当てはめるのではなく、 髪によって切り方を変えると、 仕上がりがどう変わるのか。 5つの実例でご紹介します。
ACTUAL CUT DESIGN
5つの髪。
5つの切り方。
完成した形から、
切り方を振り返る。
同じ長さや同じスタイルでも、 髪質、毛量、くせ、生え癖、 骨格によって考えることは変わります。
ここでは実際の完成作品と、 その形にするために考えたことを 5つのケースでご紹介します。
膨らませず、
毛先だけを動かす。
多毛・太毛でも、
ベースは小さく。
- HAIR
- 直毛 / 多毛 / 太毛 / ハチ張り
- CUT
- ハチ張りに対して隠しレイヤーを入れ、 耳後ろのヘムラインには立体裁断。 まずベースカットをできるだけコンパクトにします。
- AIM
- 全体のボリュームを増やさず、 毛先に必要な動きだけをつくる設計。
- FINISH
- アイロン不使用。 ボリュームゾーンを避けるようにロッドを配置し、 カットと組み合わせて形をつくっています。
KEEP IT COMPACT / MOVE THE ENDS
上と下で、
切り方を変える。
直毛だからこそ、
ハチを平面的に見せない。
- HAIR
- 軟毛 / 毛量普通 / 細毛 / くせ無し / 生え癖なし。 直毛のためハチの出っ張りが強調されやすい髪。
- CUT
- ハチラインで上下2段構成。 アンダーセクションには隠しレイヤー。 ハチ上のオーバーセクションはコンケーブ、 ハチ下はコンベックスで切り分けます。
- AIM
- ハチの張りをそのまま形に出さず、 切りっぱなしのラインを残しながら 平面的に見えにくいバランスへ。
- FINISH
- 毛先のみアイロン使用。 スタイリング剤は フラッグシステム社の潤髪トリートメント。 毛先はブリーチオンカラー。
DIVIDE THE SECTIONS / CONTROL THE LINE
今日だけでなく、
伸び方まで考える。
前髪と襟足の生え癖を、
切り分けて考える。
- HAIR
- 普通毛 / 毛量多め / 猫っ毛 / くせ無し / 襟足の浮き癖 / 前髪がパカンと割れる生え癖。
- CUT
- バングセクションを一般的な三角形ではなく馬蹄形で設定。 耳後ろのヘムラインには、 ネープの浮き癖に対応する隠しレイヤーを入れます。
- SECTION
- ネープ以外をオーバーセクションとしてコンベックス。 ネープのアンダーセクションはコンケーブで構成します。
- FINISH
- アイロン不使用。 スタイリング剤は フラッグシステム社の潤髪トリートメント。
GROWTH PATTERN / LONGER BALANCE
直毛に、
空間をつくる。
動きにくい髪を、
切り口から変える。
- HAIR
- 超直毛 / 毛量多め / くせ無し。 平面的で動きの少ない形になりやすい髪。
- CUT
- すべての切り口をコンベックスで構成。 毛束の内側にはスライドを入れ、 内部の重さを調整します。
- TEXTURE
- バタフライエフェクトカットを使い、 超直毛でも毛束同士に 浮遊感が出るように考えています。
- FINISH
- アイロン不使用。 スタイリング剤は フラッグシステム社の潤髪トリートメント。
CREATE SPACE / KEEP THE LENGTH
くせを消さず、
形として活かす。
強いくせほど、
減らしすぎない。
- HAIR
- 多毛 / 太毛 / 強いくせ / ハチ張り / 襟足がセンターへ集まり浮きやすい生え癖。
- CUT
- ハチラインに薄めの横スライスで立体裁断。 ハチ部分には隠しレイヤーを入れていません。
- WHY
- この髪では、 ハチに隠しレイヤーを入れると その部分が暴れやすいためです。 耳後ろのヘムラインのみ、 薄い幅で隠しレイヤーを入れています。
- AIM
- くせをパーマのような動きとして活かします。 梳きすぎると大きく膨らみやすいため、 必要以上に毛量を取りすぎないよう調整します。
- FINISH
- アイロン不使用。 スタイリング剤は フラッグシステム社の潤髪トリートメント。 現在はカラー履歴のみで、 過去には縮毛矯正を継続していた履歴があります。
USE THE CURL / DO NOT OVER-THIN
SAME CUT CATEGORY / DIFFERENT ANSWERS
髪が違えば、
切り方も変わる。
隠しレイヤーを使うこともあれば、 あえて使わないこともあります。 同じ技法を当てはめるのではなく、 その髪に必要な形から逆算して考えます。
YOUR HAIR / YOUR DESIGN
こんな髪なら、
どこを見るか。
悩みの名前だけでは、
切り方は決まりません。
「多毛」「直毛」「くせ毛」といっても、 髪の状態は一人ひとり違います。
まずは、どこが膨らむのか。 どこがつぶれるのか。 どんな生え方をしているのかを見て、 必要なところから考えます。
多毛で膨らみやすい
どこに毛量が集まり、 どこが外へ張り出しているか。
全体を一律に軽くするのではなく、 重さを残す場所と調整する場所を分けて考えます。
直毛で動きが出にくい
平面的に見えている場所と、 動きが欲しい場所はどこか。
長さを減らすだけでなく、 切り口や内部の重さを変えて 立体感をつくります。
ハチ張りが気になる
骨格だけでなく、 髪の密度や直毛の影響も確認します。
ハチ部分だけを単純に軽くせず、 上下のつながりや重さの位置から整えます。
前髪が割れやすい
前髪そのものだけでなく、 生え始める位置と毛流れを見る。
必要に応じて前髪の取り方そのものを変え、 周囲の髪とのつながりまで考えます。
襟足が浮く
短くすれば収まるのか、 長さを残した方が収まるのか。
生える方向を見ながら、 襟足だけを別のセクションとして 考えることもあります。
くせを活かしたい
どのくせを残し、 どこを収めると形になるか。
梳きすぎると広がる髪もあるため、 くせの強さと毛量を見ながら 必要以上に軽くしないよう調整します。
毎朝を少し楽にしたい
サロンで完成する形だけでなく、 自宅でどう乾かしているか。
普段のスタイリング方法も聞きながら、 無理なく扱える形を一緒に考えます。
BEFORE YOUR VISIT
答えを決めてから、
来なくて大丈夫です。
「何センチ切るか」より、
今気になることから。
「ハチが膨らむ」 「襟足が浮く」 「前髪が割れる」 「くせを活かしたい」。
具体的な髪型や切り方まで 決めておく必要はありません。 実際の髪を見ながら、 長さや形、必要な調整を一緒に考えます。
02 / CONSULTATION
相談の流れ
気になることを聞く
髪型の名前が分からなくても大丈夫です。 膨らむ、つぶれる、割れる、扱いにくいなど、 普段感じていることから伺います。
実際の髪を見る
毛量や太さだけでなく、 くせ、生え癖、ハチ、襟足、 前髪などを確認します。
その日の形を決める
残す長さ、動かす場所、 収める場所を相談しながら決めます。 必要な切り方は、そのあとに選びます。
03 / WITH OTHER DESIGN
カットだけで考えない場合もあります
CUTを土台に、
必要なら次の方法も考える。
希望する形によっては、 カットだけでなくカラーやパーマを 組み合わせた方がよい場合もあります。
逆に、カットだけで十分な場合は 無理に施術を増やす必要はありません。
まず髪と希望する形を見て、 必要なものだけを相談して決めます。
CUT FIRST / DESIGN TOGETHER
相談しながら、
形を決める。
予約する時点で、 完成形まで決め切る必要はありません。 今の髪で困っていることや、 なりたい雰囲気をお聞かせください。
TALK FIRST / CUT AFTER
切る長さが、
決まっていなくても。
今、気になることだけ
持ってきてください。
髪型の名前や、 カットの専門用語まで 分かっている必要はありません。
普段どこが扱いにくいのか。 どんな雰囲気にしてみたいのか。 そこから一緒に考えていきます。
START WITH THIS
膨らみやすい
前髪が割れる
襟足が浮く
くせを活かしたい
このくらいのところから、 ご相談いただければ十分です。
HAIR → DECISION → CUT
髪を見て、
切り方を変える。
多毛だからこの切り方。 くせ毛だからこの切り方。 と最初から決めるわけではありません。
その日の髪を見て、 必要なところを残し、 必要なところだけを調整しながら 形を考えます。